2024/ミクストメディア
山本卓卓と三野新による初のコラボレーション作品「ここにたち、ここにたつ」は、リサーチから生まれたインスタレーション。東京・有楽町のYAU STUDIOから札幌にやってきた2人は、この街の歴史を知る人々との交流を通じて、ビルが、空間が、人々が、この場に「たつ」ということの意味や、過去・現在・未来を繋ぐ「仮囲い」について議論を重ねた。山本による書き下ろし戯曲「ここにたつ」は、デザイナー・おおつきしゅうとが空間に落とし込み、三野の写真やインスタレーションの間を縫うように、地下から地上へとそしてまた地下へと回りながら、ひとつの物語を描き出している。
個人が風景と対峙した時にどうしようもない無力感を抱えてしまうことがあります。この作品は、そんな「個人たち」に寄り添いつつ、ともに風景に血を通わせるための共同的な営為なのかもしれません。 ――三野新
とにかくロマンチックな戯曲を書きたかった。そこにいるものが現実を嘆くより、そこにいないものが未来を夢見ているということが、よっぽどいまを生きるものにとってアクチュアルなはずだから。 ――山本卓卓
写真家/舞台作家。福岡県生まれ。
周縁化された場所やものに残る記憶や風景を繋ぎ、それらの中間項を見つけ前景化させることをテーマに研究と実践を行う。写真・映像を元にフィクションを作り、メディアを通して領域横断的に活動する。
劇作家・演出家・俳優。範宙遊泳代表。幼少期から吸収した映画・文学・音楽・美術などを芸術的素養に、加速度的に倫理観が変貌する現代情報社会をビビッドに反映した劇世界を構築。アジア諸国や北米での公演や国際共同制作も多数。『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞。
アーティスト: 山本卓卓&三野新
ディレクター: 小山泰介
デザイナー: おおつきしゅうと
レタッチャー: 森美由紀
コーディネーター: 東海林慎太郎、山本さくら(YAU STUDIO)
企画: 有楽町アートアーバニズムYAU
機材協賛: 株式会社キングジム
謝辞(敬称略): 赤坂文音、柴田未江、田口虹太、中井大貴、 長谷川隆三、平野晋作、松村耕一、野夫井彩乃
三野:締切です。
山本:日々のあらゆる芸術と生活です。
三野:芸術を非現実なものとして分けないような慎重な手つき。作品を現実の中に滑り込ませつつ、違和感として鑑賞者に認識してもらいたいと思っています。芸術は紛れもなく現実なのです。
山本:鑑賞者の作品の興味への段階があるはずで、通り過ぎる人は通り過ぎるだろうし、立ち止まる人は立ち止まるだろうし、けれども深く作品を掘っていくと辿り着く感覚、演劇的な言い方をするならば感動、というものもあるはずです。表層と深層、どの鑑賞の段階が優れている劣っているとかではなく、それらの鑑賞態度をすべて許容していくような、そんな物語にしたいと思って書きました。
三野:最近は、渚に興味があります。幻想的で南国なイメージもありますが、僕はどちらかというとその残酷さにも注目したい。海と陸を分け、それぞれの生活の果てとしての渚。海の生物は陸に上がると死ぬし、その逆も然り。最近はそんな渚に立つことを意識していたりします。
山本:ヘッドスパです。
三野:自分はテニスが特技なので、有名なテニススタジアムを使わせていただきて、作品制作や発表をしてみたいと思っています。
山本:今回のような仕組みの作品を地球規模でつくりたいです。